2026 年 4 月、Meta はフラッグシップのオープンモデルを Llama 4.1 として刷新しました。Llama 4 Maverick のマイナーアップグレードで、コーディングとインストラクション追従が改善されています。一方、Google の Gemma 4 は「自分のハードウェアで LLM を動かしたい」という現場の第一選択肢として定着しました。今この 2 つで迷っているなら、忖度なしの比較をまとめたのでどうぞ。
クイック比較
| 項目 | Gemma 4 (31B Dense) | Llama 4.1 (Maverick 400B MoE) |
|---|---|---|
| 開発元 | Google DeepMind | Meta AI |
| パラメータ | E2B / E4B / 26B MoE / 31B Dense | 70B / 400B MoE |
| コンテキスト長 | 256K tokens | 10M tokens |
| マルチモーダル | テキスト+画像+音声+動画 | テキスト+画像 |
| 対応言語 | 140+ 言語 | 28 言語 |
| ライセンス | Apache 2.0 | Llama License |
| オンデバイス(スマホ/ノート PC) | 対応(E2B / E4B) | 非対応 |
| 学習データ締切 | 2026 年 1 月 | 2026 年 3 月 |
要点:モバイル対応・多言語・オープンライセンスでは Gemma 4 の完勝。Llama 4.1 が勝るのはベンチマークのピーク値と長文コンテキストで、かつ GPU リソースが潤沢な場合に限ります。
ベンチマーク詳細
以下は 2026 年 4 月公式発表の数値、特記なき場合は FP16 精度です。
| ベンチマーク | Gemma 4 31B | Llama 4.1 70B | Llama 4.1 400B MoE |
|---|---|---|---|
| MMLU | 87.1% | 88.9% | 91.2% |
| HumanEval(コーディング) | 82.7% | 85.4% | 89.1% |
| MATH | 68.5% | 71.2% | 75.8% |
| MT-Bench | 8.7 | 8.8 | 9.0 |
| TruthfulQA | 68.9% | 70.1% | 72.3% |
生スコアでは Llama 4.1 が全項目で勝っています。ただしパラメータ数の差に注目を。Gemma 4 31B は 約 1/12 のパラメータで Llama 4.1 400B の 92〜95% の品質 を出しています。1 ドルあたりの計算コストで見れば、Gemma 4 が勝つケースがほとんどです。
言語別のタスクになると差はさらに広がります。
- 日本語 (JGLUE): Gemma 4 約 81%、Llama 4.1 約 68%
- 中国語 (C-Eval): Gemma 4 約 84%、Llama 4.1 約 72%
- 韓国語 / ベトナム語 / タイ語: Gemma 4 は英語との差が約 5pt 以内、Llama 4.1 は 15〜25pt 低下
日本語タスクで 13pt の差というのは、実務では「そのまま使える」と「後処理必須」の境界線に相当します。特に敬語表現や漢字の使い分け、和製英語の解釈で Gemma 4 の優位が顕著です。
ハードウェア要件
Gemma 4 を動かす
| バリアント | VRAM (FP16) | VRAM (Q4) | 代表的ハードウェア |
|---|---|---|---|
| E2B | 4 GB | 1.5 GB | iPhone 15 Pro、ミドルレンジ Android |
| E4B | 8 GB | 2.5 GB | MacBook Air M2、Chromebook |
| 26B MoE | 54 GB | 14 GB | RTX 4090 (Q4) |
| 31B Dense | 62 GB | 16 GB | RTX 4090 (Q4)、A100 単基 (FP16) |
Llama 4.1 を動かす
| バリアント | VRAM (FP16) | VRAM (Q4) | 代表的ハードウェア |
|---|---|---|---|
| 70B | 140 GB | 39 GB | 2× RTX 4090 (Q4)、A100 80GB 単基 (FP16) |
| 400B MoE | 800+ GB(部分ロード) | 220 GB | 4〜8 基の A100 80GB クラスタ |
400B MoE はどの量子化設定でもコンシューマ向けには収まりません。ローカル運用するなら実質的には Gemma 4 31B vs Llama 4.1 70B の比較になり、差はぐっと縮まります。日本のクラウド環境では、さくらインターネットの高火力 DOK や AWS Tokyo リージョンで A100 を借りるコスト感も要検討ポイントです。
推論速度
同一ハードウェア、4-bit 量子化で比較:
| ハードウェア | Gemma 4 31B Q4 | Llama 4.1 70B Q4 |
|---|---|---|
| RTX 4090 (24 GB) | 約 35 tok/s | 収まらず |
| 2× RTX 4090 (48 GB) | 約 45 tok/s | 約 18 tok/s |
| A100 80GB (FP16) | 約 55 tok/s | 約 28 tok/s(Q4 のみ) |
快適なサイズ帯では Gemma 4 が約 2 倍高速、かつ Llama 4.1 70B が収まらないハードでも動きます。
どちらを選ぶべきか
Gemma 4 を選ぶケース:
- スマホ・ノート PC・エッジデバイスにデプロイする、データセンター GPU がない
- ユーザーが英語以外の言語を使う(日本語の場合は特に差が大きい)
- マルチモーダル(音声・動画)が必要——Llama 4.1 は未対応
- Apache 2.0 の自由度が欲しい(ユーザー数上限なし、商用利用でレビュー不要)
- コスト対品質を重視する
Llama 4.1 を選ぶケース:
- MMLU / HumanEval のピーク値が必要
- 256K tokens を超える長文を扱う(10M コンテキストは巨大コードベース解析に有効)
- すでに複数 GPU のインフラがある
- 英語のみのワークロードで、多言語の強みが効かない
デプロイ
Ollama で Gemma 4
ollama pull gemma4:31b
ollama run gemma4:31bオンデバイス運用は モバイルデプロイガイド を参照。iPhone と Android での E2B/E4B 実装を解説しています。
Ollama で Llama 4.1
ollama pull llama4.1:70b
ollama run llama4.1:70b400B MoE は現時点でクラウド経由(Meta、AWS Bedrock、Azure)のみで、ローカル Ollama では動きません。
コスト比較
セルフホスト(初年度)
Gemma 4 31B:
- ハードウェア:RTX 4090 約 ¥270,000
- 電気代:約 ¥5,200/月
- 初年度合計:約 ¥333,000
Llama 4.1 70B:
- ハードウェア:2× RTX 4090 または A100 単基、約 ¥630,000 / ¥2,250,000
- 電気代:約 ¥13,500/月
- 初年度合計:約 ¥792,000(2× 4090 構成)
API 価格(100 万トークンあたり、2026 年 4 月)
| モデル | 入力 | 出力 |
|---|---|---|
| Gemma 4 31B(Google Cloud) | ¥38 | ¥75 |
| Llama 4.1 70B(AWS Bedrock) | ¥113 | ¥150 |
| Llama 4.1 400B MoE(AWS Bedrock) | ¥338 | ¥450 |
同等の出力品質で比較すると、セルフホストの Gemma 4 はどちらの Llama 4.1 プランも 3〜6 ヶ月で追い抜く試算になります(継続的な利用量があれば)。
移行メモ
Llama 3.x / Llama 4 → Llama 4.1: ほぼドロップイン。tokenizer は後方互換で、コーディングと推論で 10〜15% の品質向上を期待できます。
Gemma 2 / Gemma 3 → Gemma 4: tokenizer が更新。ネイティブの function calling が従来のアドホック JSON パースを置き換えています。詳細は Gemma 4 アーキテクチャ変更点。
家族をまたぐ移行(Gemma ↔ Llama): fine-tune の重みは直接移植できません。本番運用中の fine-tune を移す場合は 1〜2 週間の再学習を見込んでください。
コンプライアンスとデータ保護(日本視点)
日本国内で商用運用する場合、押さえておきたいポイントを整理します。
- 改正個人情報保護法(APPI): Gemma 4 をローカル運用すれば、ユーザーの個人データが第三者に送信されないため越境移転の問題を回避できます。ChatGPT / Claude の API 経由では避けられない論点です。
- 金融庁・医療情報ガイドライン: 金融・医療分野では外部 API 利用時にリスク評価が必要になるケースが多く、オンプレ運用可能な Gemma 4 が選ばれやすい傾向。
- 生成 AI 事業者ガイドライン(総務省/経産省): モデル選定時の説明責任を満たすうえで、Apache 2.0 のほうが契約書ベースのレビューが軽く済みます。
Llama License の MAU 7 億条項は 99.9% のチームには無関係ですが、資金調達の法務 DD(デューデリジェンス)で指摘されることはあります。
FAQ
日本語性能はどちらが強い?
Gemma 4 が明らかに優位です。JGLUE で Gemma 4 31B は約 81%、Llama 4.1 70B は約 68%。Gemma 4 は 140+ 言語をネイティブに学習しており、敬語・漢字の使い分け・自然な語順で差が出ます。JSQuAD や JCommonsenseQA など他の日本語ベンチでも同様の傾向。
コンシューマ GPU で動くのはどっち?
RTX 4090 24GB 1 枚で Gemma 4 31B Q4(約 35 tok/s)と 26B MoE が動きます。Llama 4.1 70B は 4090 2 枚または A100 1 枚が必要。RTX 5090(32GB)なら Gemma 4 31B を FP8 でも動かせます。
MacBook で動かせる?
Gemma 4 E2B / E4B は Apple Silicon 全般で快適。Gemma 4 26B MoE / 31B Dense は M2 Max または M3 Pro で 32GB 以上のユニファイドメモリが推奨。Llama 4.1 70B は M3 Ultra 64GB 以上で約 8 tok/s。Llama 4.1 400B は Mac では現実的ではありません。
ELYZA や Sarashina など国産 LLM と比べると?
ELYZA-Llama3 や Sarashina2 は日本語特化で良質ですが、ベースが Llama 系のためマルチモーダル(音声・動画)に未対応。Gemma 4 31B は日本語性能が ELYZA と同等〜やや優位で、かつマルチモーダル + オンデバイス対応を兼ね備えます。純粋な日本語テキスト生成のみなら国産モデルも有力候補です。
商用利用で気をつけることは?
Gemma 4 は Apache 2.0 で制限なし・ユーザー数上限なし・売上閾値なし。Llama 4.1 は Meta の Llama License で MAU 7 億以上の場合は別途商用ライセンスが必要(99.9% のチームには無関係)。資金調達時の法務レビューでは Apache 2.0 のほうが通りが早い傾向。
Llama から Gemma への移行コストは?
ファインチューンなしで単にモデルを差し替えるだけなら、推論コードの修正のみで済みます。fine-tune 済みの重みがある場合は直接移植できず、1〜2 週間の再学習を見込んでください。Gemma 4 は LoRA をネイティブサポートしており、学習コストは Llama 4 より安く済みます。
Gemma 5 は出る?
Google は 2026 年 4 月時点で Gemma 5 のロードマップを公表していません。次のメジャー版までは Gemma 4 のマイナー更新(マルチモーダル強化、コンテキスト拡張)が続く見込みです。
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結論
2026 年 4 月にオープン LLM を選ぶ開発者の 90% にとって、Gemma 4 がデフォルト解 です。手元のハードウェアで動き、ユーザーの言語を理解し、ライセンスも法務が質問すらしないレベルに綺麗。
Llama 4.1 が正解なのは以下 3 つのケースだけ:(1) 英語ベンチマークのピーク値が必要、(2) 256K tokens を超える長文処理、(3) すでに複数 GPU クラスタがあり 400B MoE が活きる。それ以外はオーバースペックです。
最終更新:2026 年 4 月 18 日。ベンチマークは公式発表とコミュニティ検証によります。
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